∑考=人

そして今日も考える。

休日に外出するなんてもったいない

私は休日のほとんどの時間は家で過ごしている。もちろん、たまには会社のイベントに参加したり、彼女とデートしたりもするけれど、基本的には家にいる。いわゆるインドア派である。

 

休日に外出しないなんてもったいない!と考えている人もたくさんいるだろうけど、私はむしろ休日に外出する方が明らかにもったいないと思う。それはせっかくの休みだからゆっくりくつろいだ方がいいとかそんなことではない。「家賃にいくら払ってるの?」ってことだ。

 

私は今家賃9万円ぐらいのところに住んでいる。はっきり言って馬鹿にならない値段だ。しかし、東京で都心からそれほど離れていない場所に住むなら一人暮らしでもこのくらいにはなる。一ヶ月30日として、1日3000円はかかる計算だ。

 

でも、よくよく考えてみると、平日は仕事だから家にいる時間なんて1日の半分ぐらいである。忙しい人なら寝床としてしか家を使っていないかもしれない。こんな人が休日まで外に出かけてしまったとしたら。毎月半分ぐらいは使ってもいない家のために数万円も出費していることになるのだ。

 

また、家をほとんど使っていないにもかかわらず、ほんの数日で家は汚れていく。掃除をしたりと管理の費用、時間が別途発生するのである。どうせなら家を活用した方がいいだろう。と私は思う。

 

もちろん、私みたいに大半を家で過ごす人にとってはそれほど損をしている気分にはならないかもしれない。でもほとんど家を使っていない人にとってはどう考えても損である。

 

シェアハウスとかが流行ってきているのは、確実にこういった家賃の無駄があったからで、家賃が無駄になっていることを認識している人がいるからである。そして、そう遠くない未来には「家を持たない人」が一定数現れてくる、と私はひそかに思っている。

 

考えてもみてほしい。人が家を持つのはもちろん「住む」ためであるが、もう少し細分化してみると、「寝る」ため、「食べる」ため、「テレビを見る」ため、「洗濯する」ため、などいくつかの機能に分けることができる。

 

で、本質的に現代人が使っている家の機能は実はたった二つしかない。それは「寝る場所」としての家、「所有物の貯蔵庫」としての家である。家で食事をしたり、テレビを見る人はたくさんいるだろうけれど、それらが理由で家に住んでいるわけではない。私たちはたった二つの機能のために家を買ったり借りたりしているのである。

 

昔はきっと家の役割がもっと沢山あった。家を構えないとできないことが沢山あったのだ。しかし、現代は家の機能のほとんどがサービスとしてアウトソースされている。コインランドリーに行けば洗濯ができるし、銭湯で体も洗える。ネットカフェでインターネットにも接続できるし、スマホでテレビも見れる。夜になればビジネスホテルで寝ればいい。

 

ただ、問題もある。一つは、就寝コストが未だに割高なことだ。先ほど、1日寝るだけで3000円とあったが、1日寝るだけで3000円ならビジネスホテルに泊まるよりも確実に安い。ネットカフェならやや価格は下がるが、確実に睡眠の質は下がってしまう。

 

だから、「寝る」機能のためだけに家を持つとしても今はそれが合理的なのである。その理由は、ほとんどのホテルが「寝る」以外の機能を沢山搭載しているラグジュアリーな形態をとっているからだ。今後は「一泊790円※ただし、朝食なし、風呂なし、自販機なし、漫画なし、テレビなし」みたいなサービスが登場することを期待している。

 

もう一つの理由は、貯蔵庫としての役割を果たすサービスの実現は極めて難しいことだ。

 

今でも、レンタル倉庫というサービスは存在する。月額2000ぐらいから利用できるので、価格的には申し分なさそうである。でも、ここに家のものを全て預けられるかというと、そうはいかない。そんなことをしたら、毎日そのレンタル倉庫まで通ってから出かなければならなくなってしまうからだ。

 

これは当然のことで、家で物を保管することの意味は「いつでもすぐ使えるように」するためである。家が住む場所である前提があるから、家を貯蔵庫化することに価値が生まれるのである。

 

逆に言うと、いつでもすぐ使えるのであれば、家で保管する必要はない、ということでもある。一番のいい例はお金だ。今のご時世に持っているお金を全て家で保管している人がいるだろうか。いない。なぜなら、お金はもうすでにいつでもすぐ使えるものになっているからである。

 

お金みたいに、その媒体自体に価値の本質があるわけではないものについては、こういった移管が発生しやすいが、物自体に価値の本質があるものについてはかなり難易度が上がってしまう。

 

例えば、洋服は家にないと困る。いつでも使えるといい、というよりも家から出る時に必ず必要だ。とはいえ、物流システムが今よりもっと進化して、今まさにいるところに洋服を30分ぐらいで届けてくれるようになれば、最悪なんとかなるかも。洋服を電子的に管理するアプリは既にあるし、こういう発想が出てきてもおかしくない気がする。

 

まぁ私は「パーソナルスペース」としての家に一番価値を感じているので、家に住まないという選択は考えてないですけどね。