∑考=人

そして今日も考える。

転職か独立か

最近、転職について真剣に考える機会が増えた。たぶん会社に入る前によーく考えておかないと、会社に飼い殺しにされる。少なくとも、まだ入社後の洗脳を体感していない私にとって、「転職を考えなくなってしまう未来の自分」はちょっとした恐怖である。

 

会社は2年で辞めていい (幻冬舎新書)

会社は2年で辞めていい (幻冬舎新書)

 

 

 会社は2年で辞めてもいい。1年で辞めたっていい、とのこと。内容は真面目で、転職についてかなり慎重に述べられていると思う。どこかの自己啓発書みたいに、働きたくなければ辞めればいい、という主張ではなく、むしろ転職するために必要な心構えについて参考になる点が多い。転職を11回も経験している割には保守的な思想に基づいている。

 

時代は変わって、転職のハードルが下がっていることは周知の事実であろう。しかし、それは必ずしも「良い転職」が簡単にできることを意味しないし、むしろ転職市場が盛り上がっていたとしても、転職に涙を流す人たちの方が実際には多いのだと思う。転職を成功させるためにはやはり最低限の準備が必要だ。

 

で、この本を読んで思ったのは、やはり年を重ねてからの転職はかなり難しいんだろうな、ということだ。転職に必要なのは、市場価値、人材価値である。この本では、人材価値を構成する要素として、顧客、能力・スキル、対人関係だと述べられている。この中で顧客が1番の要になることは間違いないが、個人として顧客を抱えることのできるサラリーマンはそれほど多くないと思う。また、対人関係は誰でもそれなりに身につけることができると想定すると、周りと差がつくのはやはり、仕事の能力ということになる。

 

たぶん、能力さえあれば転職はいつでもできると考えている人もいると思うが、その能力はプレーヤーとしての能力ではないことが多い。主に、マネージメントスキルとか管理能力といった抽象的なもので計られることになる。20代のうちなら、プレーヤーとしての資質、あるいはポテンシャルを買われて、良い条件で転職できることもあるだろう。しかし、年齢を重ねるにつれて、プレーヤーしての能力しかないようでは評価に値しないのだ。

 

そして、そういった能力があることを示すためには、実績が必要になる。でもどうだろう。大企業で2年程度働いた人がマネジメントの機会が与えられるとは考えにくい。当然、実績も作れない。さらに、マネジメント能力に関して言えば、個人で身につけることは不可能だ。プログラミングスキルや営業能力ならまだしも。

 

こう考えると、まず一段階目として、プレーヤーとしての資質やポテンシャルを買ってくれる年齢のうちに小さい(流動性の高い)会社に転職する必要があるのかもしれない。少なくとも、マネジメントを経験するまで最初の会社で待っていたら自分の市場価値は相対的にどんどん下がってしまうだろう。規模が小さくても、実績を多く積んでいる方が市場では評価されるはずだ。転職を考える上では、大企業に勤めることは不利だと言わざるを得ない。わかってはいたことが。

 

逆に独立の方が簡単なのではないか、という気すらしてくる(簡単に独立が出来るという意味ではなく、転職に比べて、ということ)。というか転職ができず、今の会社にも勤めないならその選択肢しかない。というかその選択ができなければ、たぶん一生今の会社で働くことになるだろう。恐ろしい。

 

どっちにせよ、ステップアップを考えるなら、どうせ一生働く会社じゃないから頑張らない、みたいな余裕綽々な姿勢では、ありとあらゆる可能性が閉ざされてしまうようだ。最大限に利用して、少なくとも将来の選択肢ぐらいは残せるようにしないとね。