∑考=人

そして今日も考える。

ナレッジマネジメントがうまくいかないのはなぜなのか

ナレッジマネジメントとは直訳すれば、知識管理です。誰かの持っている知識を他の人が利用できるようにはからうための取り組み、といった意味合いで使われることが多く、スキルトランスファーと似たような考え方です。

 

どんな組織もきっとそうだと思うんですれど、過去の人たちのノウハウは総じて消失していくんもんなんですね。何かについて調べた結果とか、整理した結果とか、実際にぶち当たった問題とかその解決策とか。マネジメントをする立場としては、まぁまた現場の人に調べてもらえばいいか、という話なんでしょうけど、これはかなりの稼働損失です。

 

こういう状態をノウハウが蓄積されていない、というわけですけど、ノウハウが蓄積されていないはずはないと思いませんか。例えば、うちの会社だとデータとか仕事で作成したものは基本的に全てサーバ上に保管されています。なので、誰かが何かに調べた結果というのはどこかしらに残っているわけです。

 

問題なのはどこに残っているかがわからない、探し出すのにすごく時間がかかる、ということです。設計書など公式なドキュメント類はもちろん全体に共有されているので、ある程度探しやすくはなっていますが、設計書に記載されないような細かい内容、しかし重要な情報は誰かの個人用フォルダに埋まっているのが現状です。

 

なぜ、こんな風になってしまうのかというと、原因は二つあって、ノウハウを残しておくための枠組みを用意していないこと。ノウハウに過度な品質を求めてしまっていることです。

 

例えば、サーバのフォルダ構成というものは概ねルールが決まっていると思います。その方が直感的にどこにどんなファイルがあるかわかりやすいからです。しかし、その枠組みに当てはまらないような成果物があると、どこにおくべきか困ってしまいます。

 

また、全員が見れる場所、ということでドキュメントの品質を求めすぎると、個人的に作ったけどよくまとまっていない資料とか、情報に誤りが含まれていない資料とかを公開フォルダにおくことをためらってしまう人もいます。(なので、私は困った時には個人フォルダの中をよく探索します。)

 

情報を蓄積していく、という観点で言えば、資料が見やすいか間違っているか、正しいか間違っているか、などは脇に置いて、ただひたすら情報を格納するためのフォルダを作ればよいと思います。

 

実はフォルダというはデータベースなどに比べると実に情報の管理がしにくい構造(ツリー構造)になっています。なので、どんなに綺麗なフォルダ構成にしたところで、誰にとってもわかりやすい構造にすることはできないと考えた方が良いです。

 

むしろ、格納は雑にして、フォルダを検索するためのツールを使ったりすることで、検索性能をあげる方がベターではないかと思います。ちなみに私はHXGrepというツールを使って情報を検索しています。フォルダの構成とかをはっきり理解していなくとも、あるワードが使われている資料を特定のフォルダ配下で探すことができれば、ローカル版のグーグルのような使い方ができます。

 

それに、グーグルで検索できる情報というのも、実際のところ、正しいのかなんてわかりません。すごくコアな情報を調べたりすると、誰かの個人用ブログのページに飛んだりすることも多々あります。でも、私たちはそれを手がかりに次のステップに進められるのも事実です。ならば、別に自分たちのサーバ内の情報についてもそういうスタンスで調査すればよいんではないでしょうか。