∑考=人

そして今日も考える。

一人暮らしを振り返る

同棲をすることにした。別に同棲がしたいとか、何か決定打があったわけではないけれど、強いて言えば、経済的にも時間的にも同棲した方がいいような気がしたことと、あと一人暮らしの自由さに飽きてしてしまったことが理由だろうか。あと、昔は他人と生活をするなんて考えられなかったが、今の私と、今の彼女ならなんとなく大丈夫な気がしたのもある。

 

本当のところ、このままトントン拍子で話が進んで、もう一生一人暮らしをすることはないかもしれないと思うと、少し寂しい気はする。しかし、手放すのは惜しいけど今持っていても幸せになれないものは捨てた方がいい場合が多いことを話は知っている。それは物であっても、人間関係であっても、生活であっても同じだ。人生のステージが変わるのは、新しいことを始める時ではなく、過去を捨てた時だからだ。ステージが変わらない人生は、やっぱりつまらない。

 

ただまぁ一人暮らしをして良かったと心から思う。実家暮らしの方がお金もたまるし楽だから、と社会人になっても実家暮らしを続ける人は最近多いらしいけど、それははっきりいって人生損している。

 

なら、一人暮らしの何がいいのか。少し振り返ってみたいと思う。

 

・好きなテレビが見れる

家族に見ている内容についてイチャモンをつけられたり、同じ時間に見たいチャンネルが競合したりすることがない。親に見られたくないような内容のドラマも映画も見放題。今でこそテレビはほとんど見なくなったけど、一人暮らしを始めた時は感動したものだ。

・好きなだけ夜更かしできる

遅くまで起きていても家族に迷惑をかけることがないので、好きなだけ夜更かしできる。夜遅くまで動画を見たり、何をやってもいい。

・好きなだけ寝れる

逆もまた然り。夜更かしをした次の日に家族に起こされることもない。物音もないので、深く眠ることができる。昼寝も自由。こたつの中でも寝ても注意されない。

・好きなものだけ食べれる

一人暮らしをしたら是非とも料理をした方がいい。自分が食べたい食材を使って、食べたい料理を作って、自分の好きな味付けで食べられる。うっかり母親が自分の嫌いな料理を作ったりすることもないし、「今日は家でご飯食べるの?」とか聞かれることもない。自分で外食するのかしないのか、選択できる点も非常に魅力だ。

・友達を呼んで馬鹿騒ぎできる

家に友達を呼んでお酒を飲んで馬鹿騒ぎができるのは一人暮らしの一つの特権だ。もちろん、今は片付けが非常に面倒くさいことを知っているので、極力断っているが、それでもやってみると楽しいことの方が多い。酔っぱらったまますぐ寝れるのがまた格別である。

・大声で歌える

風呂で大声で歌っても何も気にしなくていい。大音量で音楽を聞くこともできる。この開放感は実家の中では味わえないだろう。

 

さて、どうだろう。まさに好き放題で、何もかもが自由なのだ。一人暮らしを始めたばかりの私にとっては天国だった。ただ、これらを魅力的に感じない人もいるかもしれない。実は今の私自身がそうである。別に好きなテレビを見れたり、好きなものばかり食べれたり、好きなだけ夜更かしができたりすることに感動しなくなってきた、つまり飽きたのだ。上記の自由は本質ではないと悟ったというべきか。

 

でも未だに一人暮らしっていいなと思う理由がたった一つだけ残っている。

・静かに一人を噛みしめられる

社会人になると尚更だが、他者を完全に排除し、自分が一人でいられる時間というのは人生の中では本当にごくわずかしかない。一人なんて寂しいから嫌だ、という人もいるかもしれないが、一人の時間・空間でしかできないこと、考えられないことはたくさんある。(私は一人モードでなければブログなんて書くことはできない。)そして、その中にこそ自分の本質は眠っているんじゃないかと思う。

 

最後に、私が一人暮らしの中で学んだことを一つ。

 

・自由には限界がある

一人暮らしの一番いいところは、自由とセットで責任がちゃんと付いてくることである。例えば、自分の好きな番組ばかり見ていると世の中のニュースについていけなくなったり、自分の好きな料理ばっかり食べていると健康が悪化したり。好きなだけタバコ吸ったら家から出る時に80000円ぐらい請求されたり。二日起きて二日寝てを繰り返すと体調崩したり、とあげれば本当にキリがない。

 

また、好きなことを好きなだけできる代わりに、生活を維持するための家事という重いタスク・責任がのし掛かってくる。自由の代わりに発生する責任と真っ向から直面した時初めて、「この自由は責任の代わりに手に入れるほどのものなのか」という問いが自分の中に生まれるのだ。これに答えることで自分の価値観が浮き彫りになっていくのはなかなか面白い。

 

子供の頃、世の中にルールがなぜ存在するのか、について誰でも教わったことがあると思う。自由が最高なのになぜ制約を設けるのか。この問いに対する回答はこうだったはずである。制約があることによって自由は最大化される、と。逆に言えば、過度に自由であることは逆に不自由な状況を導いてしまうのだ。

 

これはあくまで集団行動に限った話、と私などは考えていたがあながちそうでもないらしい。だから自分ルールを作ったり、自分で自分に制限を課すことで、自分の自由を最大化しようとする人がいるのだ。

 

ここで述べたようなことはきっと月並みだ。私も一人暮らしをするまで想定していなかったか、というと嘘になる。でも、一人暮らしをする前の私は知っていただけで、今の私は体験した。体験にこそ意味があったし、面白さがあった、そして自分自身に変化もあった。「一人暮らしなんて大変でしょ?」とか言わずに一人暮らしはやっといた方がいい。